JALのマイルをためている人にとっての大きな関心事の一つは、国際線特典航空券への交換でしょう。
そんなJALの特典航空券ですが、2015年以降少しずつ制度が変更されており、使い勝手が大きく変わってきています。特に今は制度変更の過渡期であり、JALのホームページ上でも旧制度と新制度が混在して紹介されている状態です。
特典航空券を上手に使うためにも、今回は2015年以降実施されているJAL国際線特典航空券の制度変更を整理してみましょう。
国際線特典航空券の制度変更は必要マイル数と空席待ちの制度変更の2つに分けられます。
変更1 必要マイル数が増加した
2015年11月1日から、国際線のファーストクラス・ビジネスクラス特典航空券への交換に必要なマイル数が増加しました。
マイル数の変更に関する制度変更をまとめたものが、下表です。
変更内容 |
時期 |
国際線ファーストクラスとビジネスクラスの必要マイル数が20%~33%増加 |
2015年11月1日から |
ファーストクラス・ビジネスクラスの必要マイル数が少なくなる曜日限定特典の新設 ※予約変更は不可 ※払戻手数料を払うことで取り消しは可能 |
2015年11月1日から |
上表の通り、2015年11月1日から国際線ファーストクラス・ビジネスクラスの特典航空券の交換に必要なマイル数が変更されました。
マイル数の増加となっています。必要マイル数は最大33%増加となっており、例えば東京ーホノルル便だと往復で20,000マイルの増加(60,000マイルから80,000マイル)となりました。家族2人で旅行すると仮定すると、実に40,000マイルの増加ですから大きな影響ですね。
※この制度変更は一般には「改悪」として受け取られましたが、マイルを大量に保持している人にとっては特典航空券の争奪戦のライバルが減るメリットがあり、一部では「改善」という評価もありました。
一方、救済措置として曜日限定ながら制度変更前のマイル数のままで特典航空券に交換できる制度が新設されました。これから特典航空券を予約しようと思っている人は要確認ですね。
変更2 アップグレード特典に必要なマイル数も増加へ
2015年11月1日から適用される必要マイル数の増加は大きな影響がありましたが、ビジネスクラスやファーストクラスへのアップグレードに必要なマイル(いわゆるアップグレード特典)については制度変更のアナウンスがありませんでした。
ところが2016年1月になって、アップグレード特典の必要マイル数の増加がアナウンスされたのです。
変更内容 |
時期 |
国際線アップグレード特典に必要マイル数が20%~25%増加 |
2016年9月1日から |
路線限定のアップグレードディスカウントキャンペーンが新設 ※マイル数増加前よりも少ないマイルでアップグレードできるのでかなりお得 |
2016年9月2日から2017年3月31日に設定 |
2015年11月1日から適用された特典航空券マイル数アップのあと、アップグレード特典は相対的にお得になっていました。いつかはメスが入ると思っていましたが、予想通り制度が変更された訳です。
とはいうものの、これについても救済措置が実施されます。アップグレードに必要なマイル数が減るキャンペーンが新設されるのです。
このキャンペーンの対象路線は限定されているので、必ずしもすべての人が恩恵を受けられるわけではありません。ですが、制度変更前より必要マイルが少なくなっている路線もあるので、場合によってはお得に旅ができますね。
変更3 空席待ちの制度も変更される
マイル増加という制度変更の裏で、空席待ちの制度も変更されています。
国際線の特典航空券は競争率が高いため、空席待ちは希望の便を確保するための必須の手段となります。
では、空席待ちについて早速確認してみましょう。
変更内容 |
時期 |
未発券の場合、空席待ち預かり期限が最大7日間に制限 |
2015年10月1日受付分から |
未発券の場合、空席待ちは片道につき1便までに制限
※今までは片道につき2便まで空席待ちが可能だった
|
2016年11月1日受付分から |
確保済み(発券済み)の便がある場合は空席待ち不可 |
2016年11月1日受付分から |
空席待ちの制度は大きく変わることになります。
特に影響が大きい箇所は、発券済みの場合、空席待ちが不可能になるということです。
このようなことを書かれても分かり難いと思いますので、現時点(2016年10月)での制度をもう少し掘り下げて確認してみます。
空席待ちには2種類ある
まず、特典航空券の空席待ちには二つの状態があるという理解が必要です。
・未発券状態での空席待ち
・発券状態での空席待ち
の二つです。
席を確保していない状態で空席待ちすることを未発券状態での空席待ちといい、ある便で空席を確保した状態で他の便の空席を待つことを発券状態での空席待ちといいます。
制度変更前におけるこの二つの空席待ちのルールを比較すると、発券状態での空席待ちはかなり有利になっているのです。
状態 |
旅程 |
空席待ち預かり期限 |
発券状態での空席待ち |
- |
確保済み便出発の4日前まで他の便の空席待ちが可能 |
未発券状態での空席待ち |
国際線第一区間出発 330日前~90日前 |
国際線第一区間出発82日前 |
国際線第一区間出発 89日前~8日前 |
予約後7日間もしくは国際線第一区間出発8日前のいずれか早い方 |
上表のように、発券状態では長期間の空席待ちが可能である一方、未発券状態では空席待ちできる期間が短いことが特徴です。
未発券の場合、希望便の出発の89日前になると7日間しか空席待ちが出来ず、期限を過ぎてしまうと強制的に空席待ちが取り消されます。取り消される訳ですから、再度空席待ち列の最後尾から並ばなくてはなりません。
一方、一旦発券状態になってしまえば確保済み便出発の4日前まで他の便の空席待ちが可能になります。席確保済みの人にとって、かなり有利になっているルールです。。
実際、この空席待ち期限の差を利用して希望の日にちを狙うテクニックが考案されるほどです。
つまり、一旦適当な日にちで席を確保しておいて、本命の日程を空席待ちするのですね。このような状況ですから、テクニックを知らない普通の人にとって、人気のシーズンに空席を確保することは難しい状況です。
2016年11月1日からは発券状態での空席待ちが不可能になる
発券状態と未発券状態での空席待ち期限の差は、2016年11月1日から逆転します。発券状態では他の便の空席待ちが不可能になるからです。今までがアンバランスだったので、これは是正処置といえるでしょう。
この制度変更によって、未発券状態の人のみが空席待ちを行えるようになります。空席の待ち行列の回転が早くなるのですね。もちろん7日間経てば強制リセットですから再度空席待ちを行う手間が発生してしまいます。ですが、少なくとも出発の4日前まで空席待ちが何十人もいるような状況は回避できるようになったわけです。
特に、適当な日で発券してぎりぎりまで開放されない席が発生しなくなったことは良いことです。空席待ち期限の優遇やマイル有効期限が切れそうといった理由で確保した席はキャンセルを前提としているはずです。こういった席を本当に利用したい客に届けるために、今回の制度変更は致し方なしといったところでしょう。
まとめ
長くなりましたが、JALの国際線特典航空券に関する制度変更をまとめると以下のようになります。
・必要マイル数が増加した
・空席待ち期限の縮小、もしくは空席待ち不可になる
また、この制度変更によって以下のような状況になると想像しています。
・必要マイル数の増加によって特典航空券の競争率が低下する
・空席待ち期限の縮小(or 空席待ち不可)によって、希望する便の空席が回ってくる可能性が高くなる
必要マイル数の増加は確かに改悪といえますが、競争率が低下するという意味では改善です。*1*2
2015年から実施されている制度変更は、JALの中期経営計画であるJALローリングプランでも紹介されているように「使う機会の拡大」を目指しているものです。
2016年11月1日をもって、現在アナウンスされている制度変更は一旦完了します。その時、今回の制度変更が特典航空券の魅力を高めたのか低下させたのか判明するのでしょうね。