2016年10月13日に、JAL国内線特典航空券の制度変更がアナウンスされました。その内容は驚くほどの変更はなかったものの、全体としては改善、一部は改悪という結果となりました。
今回の制度変更はJALのマイレージ制度変革の総仕上げといったところ。ここでは、今回の制度変更を確認してみましょう。
変更1.片道発券が往復の半分に!
(画像はJAL公式ページ「特典航空券 ルール変更のご案内」から拝借)
これは純粋な改善でしょう。今までは片道発券に必要なマイル数は往復に必要なマイル数と比べて、少し割高だったのですが、ちょうど半分になります。
例えば、A区間(東京ー大阪)だと
・往復:12,000マイル
・片道:7,000マイル
だったのが、
・片道:6,000マイル(2017年4月1日から)
となります。
使い易いマイレージプログラムを目指しているJALですが、今までの割高なマイル設定はJALの目指すべき方向と矛盾するものだと感じていました。
割高とわかっているものを利用することは、満足度よりも不満のほうが高くなるはずです。少しでも自社へのファンを増やすならば、このようなところでケチるのは間違った行動です。
今回の制度変更で、片道利用への心理的な抵抗がなくなりそうです。
特に、A区間である東京ー大阪間であれば行きはJAL利用、帰りは新幹線という利用形態も十分あり得る話です。もちろん大阪以遠となるB区間や那覇が含まれるC区間においても、行きはJAL、帰りはLCCという選択もありですね。
この移動にJALを選択してもらえることはJALにとって良いことでしょう。マイル利用では利益は出ないかもしれませんが、JALファンは増えるはずです。
提供するサービスは良いのですから、一度利用してもらって虜にしてしまえば、あとは継続的に利用してもらえるはずです。というか価格ではLCCには絶対に勝てないのですから、サービスを顧客に認めてもらうしかありません。これがフルサービスキャリアであるJALの生存条件。
変更2.離島への特典航空券はかなり改悪
(こちらの画像もJAL公式ページ「特典航空券 ルール変更のご案内」から拝借)
離島へ乗り継ぐ場合の特典航空券は改悪となります。
例えば今までの場合だと、
・羽田ー那覇(乗り継ぎ)ー石垣:20,000マイル
・羽田ー石垣(直行便):20,000マイル
でしたが、これからは
・羽田ー那覇(乗り継ぎ)ー石垣:27,000マイル
となります。実に7,000マイルの増加です。
(※直行便の特典航空券に必要なマイル数の変更はありません)
なぜ、このような制度変更となったのか。外野が勝手に想像してみます。
RACの負担軽減が目的か?
この制度変更に関連するプレイヤーは
・マイレージ制度を運営するJAL(日本航空)
・東京と沖縄本島、東京と離島を直行便で結ぶJTA(日本トランスオーシャン航空)
・離島路線を運行するRAC(琉球エアーコミューター)
の3社。各社間のマイレージの取り扱いは不明ですが、単純化するとJTAが沖縄本島に運んできた客を、RACが沖縄ー離島間を5,000マイルで提供していた、という図式になります。RACの負担が大きかったのでしょうか。異なる会社を乗り継げば、運賃が上がることは自然なことですね。
RACはJALの子会社ではなく、JTAの子会社ですからJALからみれば孫会社ですし、そもそもワンワールドにも加盟していませんから、意外とJALとの結びつきは弱いのかもしれませんね。真意は不明です。
変更3.クラスJから普通席に変更する際に、差分マイルの払い戻しが受けられるようになる
これは改善、というか当然の変更です。特典航空券でクラスJを利用する場合は、通常マイルに加えて1区間(片道)につき2,000マイルが追加で必要です。
この特典航空券を別便へ変更するといった理由等でクラスJから普通席になってしまった場合、現行の制度だと差分マイルの返還が受けられません。
クラスJが利用できなくなったのだから、せめてマイルを返してもらいたいと思うことは普通でしょう。今回の制度変更で、差分マイルの返還が受けられるようになる訳です。
変更4.特典航空券未使用時の払い戻し手数料の支払いが現金のみに制限される
特典航空券は未使用時の場合、払い戻しを受けることができます。この払い戻しには手数料が必要になります。
その手数料ですが、今までは3,100マイルかクレジットカードによる3,100円の支払いの2つの手段が用意されていました。今後はクレジットカードによる3,100円の支払いのみに統一されます。
多くの人は今までもマイルではなく、3,100円の方を選んでいたと思いますからほとんどの人にとって、この制度変更による影響はないと思います。
まとめ:貯めやすく使いやすいマイレージ制度への総仕上げ
JALの中期経営計画は2012年度〜2016年度までを対象としており、マイレージ制度に関しては「貯めやすく、使いやすい制度」への変更を計画の骨子としていました。
今回の国内線のマイレージ制度の変更により、中期経営計画で策定されたマイレージ制度に関する変革は、一旦の仕上げということになることでしょう。
次期中期経営計画ではどのような制度を目指すのでしょうか。今後のマイレージ制度の未来は、多くの人に好いてもらえるような、特にJALファンが増えるような制度になると良いのですが。