ついにJALの中期経営計画(2017-202)が発表されましたね。発表は4/28でしたが、もともとは2月発表のはずでした。これはトランプ米国大統領就任が原因で、状況を見極めるために発表が遅れたこととなっています。
さて、公表された中期経営計画をざっと見てみるとJALの計画は大きくわけて2つあることが分かります。
- フルサービスキャリア事業は引き続き強化
- 新領域への挑戦
私的にはどちらも面白いと思いましたが、肩透かしをくらったというか、思いの外、手堅い計画だと思いました。これだけ利益を上げている企業ですから、もっとアグレッシブな計画があるものと勝手に想像していました。
1.フルサービスキャリア事業は引き続き強化
日本航空はフルサービスキャリアです。フルサービスキャリアであることがJALであり、事業の中心ですからこれを強化するのは当然の計画。このことは今後もLCC事業には手を出さない、という事を意味しています(Jet Starには資本参加していますが)。この点はANAとは異なっていますね。
さて、JALの計画を見ると規模の拡大(すなわち売上増)ではなく、既存資産のリプレースが計画の中心となっています。新規路線の開設や保有機材を増やして売上を増やすことには主眼がないようです。そのため、JALの売上は市場成長に応じて増える程度(1.1倍)を目標にしています。手堅いですね。
もちろん、新規路線開設の計画が全く無いという訳ではありません。中期経営計画には、北米や東南アジア間のネットワーク強化とありますし、他社との提携強化・拡大とあります。特に後者はマイラーには気になるところですね。
機材更新
(上図はJAL中期経営計画の公表資料から)
その他、前から言われていたことですが2019年からA350が国内線に就航します。ANAは新機材であるB787を国内線に投入していますが、JALは国内線でのB787運用が無く、JAL国内線には面白みがなかったことは事実。2019年からはJAL国内線が面白くなりそうですね。
2.新領域への挑戦
手堅い計画だったフルサービスキャリアとしての旅客事業と比較して、新領域への挑戦というのは攻めの戦略なのでしょう。
具体的にはビジネスジェットサービスでしょうか。
「JAL FALCONビジネスジェットサービス」の販売を開始 | プレスリリース | JAL企業サイト
その他、海外マーケット(訪日含む)において新規需要を獲得する、といったことが計画されているようです。
このような新領域への挑戦で、2020年にはこの領域での売上を1.3倍に増やす計画のようです。
マイレージ関連については特に言及無しだが。。。
マイラーとして気になることは、マイレージプログラムの今後の展望でしょう。残念なことに、中期経営計画の中では、マイレーブプログラムに関する事項について直接言及されていません。
ただ、上記でも少し述べたように他社との提携強化・拡大が計画されています。このことは提携他社特典航空券の充実に繋がるかもしれません。
その他、私の個人的な予想ですが少ないマイル数で特典航空券を発券できる制度が拡大していくのではないかと思います。というのも、特典航空券を利用してもらうことがJALファンを増やすことにつながるからです。
実際のところ、かなり少ないマイル数で特典航空券が発券できるどこかにマイル(公式ページへのリンク)は私の周囲だけでも結構な人が利用しています。この制度は、かなり好評なのではないでしょうか。マイルの使い道に困っている顧客と、マイルを吐き出させつつも空席を埋めたい航空会社の思惑が上手に一致した制度だと思います。
そもそも保有マイル数が10,000マイル以下のライトユーザが圧倒的多数でしょうし、こういった層を取り込むことが国内におけるJALのシェアを高めることに繋がります。特典航空券のハードルが下がることは、JALを選好する理由になり得ますね。JAL選好性の向上は、中期経営計画でも目標とされています。
まとめ
JALは8.10ペーパの縛りもなくなりましたから、かなりアグレッシブな計画を発表してくるものかと思いましたが、そうでもありませんでしたね。
(普通の経営者なら今後数年かけて実現しようとしている計画を、広く公表することはしないでしょうが。。。)
2020年までは既存サービスの強化が中心となることは間違いなさそうです。
【2017-2020 JAL中期経営改革へのリンク】
2017~2020年度 JALグループ中期経営計画を策定 | プレスリリース | JAL企業サイト