先日、JAL国内線の機内Wi-Fiの完全無料化がアナウンスされました。今までも、特定路線や一部利用者向けには機内Wi-Fiが無料で提供されてきましたが、この度、全ての利用者に完全無料でWi-Fiを開放することになったようです。
機内Wi-Fiは本当に便利
JALの機内Wi-Fi無料化は、利用者満足度の向上の一環であることは、間違いありません。このところのJALは、盤石な経営基盤を背景に、SKY NEXT化、SKY WIDER化、サクララウンジのリニューアル等、利用者の満足度に関わるサービスの質の向上に取り組んでいます。
今回の機内Wi-Fi無料化もサービスの質の向上の一環なのは、間違いありません。
利用シーン
私自身、機内Wi-Fiサービスが提供されてから、何度もこのサービスを利用してきました。特に、地上にいる人と連絡できることは本当に便利。羽田空港到着便は、空港混雑で遅れることが頻繁にあります。そんな時、地上にいる人に到着が遅れることを連絡できますね。他にも、機内からとった上空の写真を家族に送ると喜ばれます。
そうそう、ビジネスマンにとっても有用ですよ。会社のメールも読めますから、「到着次第電話で折り返す」、といったことも伝えることができます。もちろん、緊急を要するのであれば、メールで仕事の指示もできますね。私自身も、時々ビジネス用途で使っていました。
狙いは一般客の集客効果?
機内Wi-Fiの完全無料化ですが、法人客がメインターゲットかと思いきや、実は一般客がメインターゲットだと思います。
というのも、JALの機内Wi-Fiのプロモーションを追ってみると、
- 機内Wi-Fiサービス開始
- 上級会員に実質無料ともいえるほどの大量のWi-Fi無料クーポン配布
- 法人客にWi-Fi無料クーポン配布
- 期間限定で、全搭乗客にWi-Fiを無料提供(15分間のみ)
- 期間限定で、全搭乗客にWi-Fiを無料提供(フライト中)
- 無期限で全搭乗客にWi-Fiを無料提供決定(ずっとWi-Fi無料宣言!)
という流れで、搭乗客向けにWi-Fiの利用を促進していました。
当初はJALを頻繁に利用する顧客(上級会員)や高い利益を生む法人客をターゲットに機内Wi-Fiの促進を図っていたようです。ですが、効果はイマイチだったのか、徐々にプロモーションの範囲が広がっていきます。
そして、 上級会員でも法人客でもない、一般客にまで期間限定でWi-Fiの無料提供を始めました。このキャンペーンが集客に一定の役割を果たしたため、機内Wi-Fiの完全無料化に踏み切ったのではないでしょうか。
Wi-Fi無料化はJALの目指す顧客満足度の向上の一環
JALはWi-Fiで利益を出そうなどとは考えてはいないでしょう。というか、JALも(ANAも)わざわざ有料でWi-Fiを使う客が少ないことぐらい、とっくに理解しているはずです。
過去、何度も飛行機に乗りましたが、機内でWi-Fiを利用している人はほとんどいませんでした。ですから、Wi-Fi利用者からの支払いでは、Wi-Fi維持費すら賄うことは難しかったのでは、と推測しています。
ならいっそのこと、機内Wi-Fiを無料にしてJALの基本サービスにしてしまおうと考えることは自然です。冒頭で述べた通り、機内Wi-Fiの利便性はかなりのものです。ですから、機内Wi-Fiが使えることは、JALの経営計画の1つである顧客満足度の向上に直結します。
◆無料化はJALなら当然の流れ?
JALは経営計画の中で、フルサービスキャリアを磨き上げ、LCCとは一線を画すと自ら公言しています。ですが、サービス毎にお金を取るのはLCCのビジネスモデル。つまりWi-Fiの有料制は、LCCのビジネスモデルなのです。フルサービスキャリアであるJALが、Wi-Fiを有料制にしておくことは、JALのポジションと矛盾していますね。今回のWi-Fi無料化はJALなら当然の流れ、なのかもしれません。
飛行機でインターネットが使えることが自然になるかも
JALの狙い通り、機内Wi-Fiを完全無料化した後は、それなりにWi-Fi利用者が増えると思います。飛行機への搭乗頻度が少ない一般客にとって、機内は非日常であり、その様子を撮影してアップする人も増えるかもしれません(いわゆるインスタ映えしますしね)。これってなかなかの広告効果になると思います。
今にして思えば、機内で当たり前のようにインターネットが使えるようになった状況は、地下鉄で携帯電話が使えるようになった時の状況に似ているように感じます。
地下鉄に携帯電話の電波が届く前は、地下鉄に突入すると、乗客の多くは本や新聞を読んだりしたものでした。同じ光景は今でも機上で見られますが、それも絶滅するかもしれません。今後、JALの空ではスマホを片手にインターネットをする人が増えるかもしれませんね。